本研究の目的は,コロナ禍にあっても「地域貢献活動」を継続している社会福祉法人に焦点を置き,活動継続の要因を明らかにしていくことである.調査は,A市のB法人とC法人の6名へ半構造化インタビューを実施した.得られたテキストデータを地域貢献活動の継続要因に焦点化し,SCATを用いて質的分析を行った.分析の結果,導き出されたB法人の理論記述の総数は41点(理事長18点,企画部長11点,施設長12点),C法人の理論記述の総数は51点(理事長30点,常務理事兼施設長12点,マネージャー9点)であった.そこから,両法人に共通する「法人機能を地域へ還元」「人材育成」「非常時対策」「コンプライアンスの確立」「運営経営の健全化」「リーダーシップ」の6カテゴリーが抽出され,コロナ禍での地域貢献活動を可能とした要因が明らかになった.研究で得られた成果は,非常時における地域貢献活動の持続的展開に関して有用な知見を提示するものと考えられる.(研究ノート)