【目的】 本研究の目的は,島嶼地域における地域福祉の推進に資するべく,ソーシャル・サポートの関連要因について検討することにある。
【結果】 第一に,t検定の結果,ソーシャル・サポート受領・提供両得点(平均点)各々について,「主観的健康感」の項目において,「健康群」「非健康群」の二群間に有意差(p<0.05)が確認された。第二に,相関分析の結果,ソーシャル・サポート受領得点と「ソーシャル・サポート提供」「社会関連性指標」「健康生活習慣実践指標」「精神的健康」「生活満足度尺度K」の各得点との間に,また,ソーシャル・サポート提供得点と「ソーシャル・サポート受領」「社会関連性指標」「精神的健康」「生活満足度尺度K」の各得点との間に,有意な相関(p<0.05)がみられた。第三に,重回帰分析の結果,ソーシャル・サポート受領得点では「ソーシャル・サポート提供」「健康生活習慣実践指標」の2項目が,ソーシャル・サポート提供得点では「ソーシャル・サポート受領」の項目が,独立性の高い変数として選択された。第四に,ソーシャル・サポート受領・提供両得点間の共線性に配慮し,再度重回帰分析をおこなった結果,ソーシャル・サポート受領得点には「社会関連性指標」「健康生活習慣実践指標」「生活満足度尺度K」の3項目が,ソーシャル・サポート提供得点には「社会関連性指標」の1項目が独立性の高い変数として選択された。【結論】 以上の結果から,島嶼地域では住民相互の支えあいの意識が高い傾向が示唆された。また,島嶼地域においてソーシャル・サポートの維持・拡大を図るには,「社会とのかかわりの保持」「健康的な生活習慣の実践」が肝要であることが明らかとなった。
山下 匡将 , 島谷 綾郁 , 早川 明 , 村山 くみ , 小関 久恵 , 嘉村 藍 , 宮本 雅央 , 大月 和彦 , 志水 幸