生涯学習の一つであるシニア大学に参加している地域在住の老年期にある人の主観的幸福感を、生活満足度尺度LSI-Kを用いて測定し、影響要因について身体的側面、社会的側面、対人交流面から検討した。調査方法はA県B市の福祉事務所が主催する平成24年度のシニア大学の調査日当日の受講者275名を対象とし、LSI-Kを含む生活関連項目についてアンケートを実施した。LSI-K得点の全体の平均点を基準として、「満足群」「非満足群」として2群に分類し、他の質問項目及び自由記述との関連を検討した。LSI-Kの欠損のない245名を分析対象とした。結果は基本属性では有意差は見られなかったが、社会関連性では「社会活動」より「主体的な生活」で、健康状態では入院や通院状況より「主観的健康感」で有意差が見られた。社会的側面では対人交流の頻度に有意差が見られた。生きがいを感じるときに関する自由記述では両群とも「自分のやりたいことができるとき」が最も多かった。老年期の人の主観的幸福感に影響する生活状況では、自律した生活ができ、友人との良好な交流が交わされていることが影響要因であり、自分のやりたいことで自己実現を図ることが生活上の満足感を高め主観的幸福感を向上させる。老年期の人を対象とする地域活動は画一的なものではなく様々な方面からの多様な活動を企画する必要性が示唆された。
pp.98-102
百瀬ちどり 村山くみ