本研究では,大学生を対象にしたストーリーテリングを用いたスピーキング指導において,スクリプト作成時,クラス内検討時,発音確認時に機械翻訳 (MT:Google翻訳) を使用し,学習者の視点から翻訳機能と読み上げ機能の利点と欠点について検証した。授業アンケートの結果,いずれの機能も英語学習において高い必要性と効果が認められ,今後も使用したいと考えられていることが分かった。各活動場面の評価では,「読み上げ機能を使った音声確認」が最も高い評価を得た。また,MT和訳を使って意図が正しく伝わっているかを確認する即時的なフィードバックよりも,MT英訳と自作の英文を比較しながら学ぶ活動や,各グループのストーリーを比較しながら一斉学習で明示的なフィードバックを得る学習の方が,より効果的であると認識されていた。翻訳機能の利点としては,利便性よりも語彙や表現の増加など学習面に関するものが多く挙げられた。一方で,欠点としては翻訳機能が優秀過ぎるがゆえの懸念を筆頭に,学習面よりも性能面に関する記述が多かった。これに対し,読み上げ機能については,ほとんどの記述が学習面における利点に関連するものであった。