本研究の目的は,小学校高学年児童は文章中の既習の単語を認識することができるのか,また,どのような単語認識方略を有しているのかについて調べることである.Fox (2007)の単語認識方略を参考に『絵葉書解読タスク』を作成し,私立女子小学校6年生にグループ活動として取り組んでもらった.タスクの正答率と振り返りシートを分析した結果,①単語によってばらつきはあるものの,ある程度高い確率( 76%) で推測することができる,②前後の文章や単語の意味からの推測を筆頭に,絵からの推測,背景知識や場面・状況による推察,アルファベット文字の表す音やスペリングによる推測,単語の長さや字形による推測,文法やチャンクに関する推測,符号いよる推測と多様な手がかりを使用している,③タスクを簡単だと感じた児童ほど方略の数も種類も多く,単語のみではなく,前後の文脈や場面など全体的に捉えようとする傾向がある,という3つの点が明らかになった.これらの結果から,高学年児童の文字学習や単語認識方略を育む活動への可能性を考察する.
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