『小学校高学年の単語認識方略ー絵葉書解読タスク活動で見られた方略の分析からー』

小学校英語教育学会北海道大会

本研究の目的は，小学校高学年児童は文章中の既習の単語を見て推測することができるのか，また，どのような単語認識方略を有しているのかについて調査することである。Fox (2008) の単語認識方略を参考に『絵葉書解読タスク』を作成し，私立女子小学生6年生にグループ活動として取り組んでもらった。タスクの正答率と活動後の振り返りシートを分析した結果，(1) 単語によってばらつきはあるものの，ある程度高い確率 (76 %) で推測することができる，(2) 前後の文章や単語からの意味的推測を筆頭に，絵からの推測，背景知識や場面・状況による推測，音声やスペルによる推測，単語の長さや字形による推測，文法やチャンクに関する推測，符号による推測と多様な方略を活用している，(3) タスクを簡単だと感じた児童ほど方略の数も種類も多く，単語のみではなく全体的に捉えようとする傾向がある，という3つの点が明らかとなった。これらの結果から，高学年児童の文字学習，読む活動，単語認識方略を育む活動への可能性を考察する。