本稿での目的は、医師の地域偏在や診療科偏在の現状を確認したうえで、最新のOECDデータを用いて日本の絶対的医師不足が解消しているのか否かを分析することである。
医師の地域偏在が生じていることは明らかである。また、最近のOECDデータを用いた国際比較の結果、日本の人口1,000人当たり臨床医数はOECD加盟31カ国中、29位であることから、日本は依然として絶対的医師不足に陥っていると言える。さらに、日本の人口10万人当たり新卒医師数はOECD加盟36カ国中、35位であることから、医学部定員についても充分ではないと言える。
本稿の絶対的医師不足の分析では、高齢化率や患者数、需要率といった医師のニーズに関係する指標は考慮されていない。しかしながら、日本の高齢化率はモナコに次いで世界第2位であることなどを考慮すると、絶対的医師不足は本稿での分析以上にもっと深刻なものとしてとらえられる可能性がある。(担当pp.22-33/総p.80)