論文

基本情報

氏名 佐藤 英仁
氏名(カナ) サトウ ヒデノリ
氏名(英語) Sato Hidenori
所属 総合福祉学部 福祉行政学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

「介護職員の不足の現状と介護職員の必要数の妥当性」

単著・共著の別

 

概要

 本稿の目的は介護職員の不足の現状を多方面から分析するとともに、厚生労働省が示した介護職員の必要数の問題点について考察することである。分析の結果、介護職員の離職率の高さは解消しているが、依然として介護職員の不足は深刻であることが明らかとなった。厚生労働省の推計によれば、2023年度介護職員は約22万人不足、2025年度は約32万人不足、2045年度は約69万人不足することが示されている。しかしながら、有効求人倍率や介護職員の必要数の計算方法から考察すると、それ以上に介護職員は不足する可能性がある。

 介護職員の必要数の算定式に「配置率」を用いることで、人員配置基準と看護職員の必要数のジレンマに陥ることになる。すなわち、介護職員が不足している現在、介護施設・事業所は運営に必要な人材を集められず人員配置基準を緩和しないと介護施設・事業所の休止・廃止に追い込まれることになる。そうなると、介護ニーズに対応できなくなる。一方、人員配置基準を緩和してしまうと、入居者に対する職員数が減少し、1人夜勤などの過酷な労働環境が改善されない。同時に、介護職員の必要数を引き下げることになるため、政策的に介護職員の養成や確保が過小となり、ますます介護職員は不足状態となってしまう可能性がある。

 人員配置基準をどのようにすればいいのか、この困難な問題に向き合うためにも、介護職員の正確な不足の現状を把握し、今後の介護職員の確保につなげるため、まずは介護職員の必要数の算出方式の見直すことが求められる。

発表雑誌等の名称

『医療労働』(No.676)、pp.3-6

発行又は発表の年月

202403