本稿の目的は2つある。1つ目は保健所数および保健師数の推移を見ることで、保健所および保健師の供給が妥当なものであったかを検証すること。2つ目は宮城県で行われた保健所の「支所化」について、その問題点を考察することである。新型コロナウィルスの大流行に伴い保健師の業務は急増し、保健所および保健師不足が叫ばれるようになったが、全く改善する見通しが立っていない。また、新型コロナウィルスの第6波がおさまらず、依然として多くの感染者を出していた2022年4月1日、宮城県では栗原保健所と登米保健所がそれぞれ大崎保健所と石巻保健所に統合され、大崎保健所栗原支所と石巻保健所登米支所に格下げされた。そこで、本稿では、保健所数および保健師数をデータを用いて示すことで不足の現状を明らかにし、不足に至った背景について考察した。また、宮城県における2つの保健所の「支所化」について概要を整理したうえで問題点を考察した。