本稿の目的は宮城県の4病院の再編案の現在までの経過を整理し、再編の問題点を考察することである。2020年8月4日、宮城県は県立がんセンター(名取市)と東北労災病院(仙台市青葉区)、仙台赤十字病院(同市太白区)の3病院が連携・統合に向けた協議を始めることで合意したことを突如として発表した。2021年9月9日には、当初の3病院の連携・統合の方針は修正され、県立がんセンターと仙台赤十字病院、東北労災病院と県立精神医療センター(名取市)をそれぞれ再編し、二つの拠点病院を新設する方針を明らかにした。この宮城県の4病院の再編案に関して、提案にいたる議論の過程や再編した際に生じる地域住民や患者への影響など、宮城県から詳細な情報は公開されていない。そこで、本稿では宮城県の4病院の再編案について、限られた情報ではあるが現在までの経過を改めて整理し、再編の問題点を考察した。