本稿の目的は、「2013年度看護職員労働実態調査」によって得られた個票データを統計的手法を用いて分析し、看護師の健康を害する要因を明らかにすることであった。そこで本稿では、「健康状態」を被説明変数にし、9つの説明変数を用いた推計モデルを考え、回帰分析を行った。
その結果、休暇とミス・ニアミスについては有意な推計値は得られなかった。しかしながら、年齢、性別、時間外労働、休憩、ストレス、やりがいについては、有意にプラスの推計値が得られた。また、看護の提供度に関しては、有意にマイナスの推計値が得られた。また、標準化したデータで推計した結果、年齢、やりがい、休憩の3つの説明変数の係数が特に大きくなった。
以上の結果から導き出される政策的インプリケーションとして、看護師の健康状態を改善するためには、休憩をきちんと確保することが有効であるといえる。そのためには、交代で休憩が取れるよう、十分な人材を確保することが求められる。また、看護師の仕事に対するやりがいを見いだせるようにすることが看護師の健康改善にもつながる。この点は2010年度からあまり改善されていない。看護の仕事の重要性を再認識させるよう、研修や勉強会等を充実させることが有効である。
pp.23-32