その他

基本情報

氏名 佐藤 英仁
氏名(カナ) サトウ ヒデノリ
氏名(英語) Sato Hidenori
所属 総合福祉学部 福祉行政学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

地域医療を取り巻く問題点―人口減少の本質を理解する―

単著・共著の別

その他(発表学会等)

発行又は発表の年月

2025/11

発表学会等の名称

日本医労連「2025年度全国医科系大学労組全国交流集会」

概要

2025年11月8日に日本医労連が主催する「2025年度全国医科系大学労組全国交流集会」にて講演を行った。 本講演は、日本の人口減少と医療提供体制の現状を分析し、国の政策の問題点を指摘したものである。日本の人口は近年、年間50万人単位という驚異的なスピードで減少しており、2024年には1億2,380万人にまで落ち込んだ 。本質的な問題は、単なる人口減ではなく人口構造の変化にある。日本の高齢化率は29.3%と世界一であり、本来は医療・福祉を最も充実させるべき局面にある 。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、65歳以上の高齢者人口は2043年まで増え続けるとされており、疾病率の高い高齢者が増える以上、医療需要は今後も高まるはずである 

 しかし、国は「地域医療構想」を通じて病床削減を強力に推進している。この構想は、将来の必要病床数を算出して現状との差を削るシステムであり、高度医療の砦である大学病院までもがその枠組みに組み込まれている 。実際に病院病床数は1993年以降削減され続けており、人口千人あたりの病床数も低減傾向にある 。こうした削減がコロナ禍における深刻な病床不足を招いたにもかかわらず、現在も大学病院での病床削減方針が相次いでいる 。著者は、国の医療需要予測が古いデータに基づいていることや、実際の人口推計よりも少ない数値で計算されているといった、算出プロセスの誤りを厳しく批判している 

 さらに、日本の医師不足も深刻である。2023年のOECDデータによれば、人口あたりの医師数は加盟国中で最下位となった 。超高齢社会において医師数が最下位である現状は極めて深刻であり、医師の偏在以前に絶対数が不足している。働き方改革による業務のひっ迫や、看護職の離職問題、効果の薄い少子化対策など、医療現場を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている 

 解決策として、著者は公的医療機関への大胆な予算配分を提案する。国家予算のわずかな割合を工夫するだけで、各病院へ多額の補助金が可能となり、医療現場を救うことができる 。国のデータや方針を鵜呑みにせず、現場の声や独自のデータを活用し、必要な医療が提供される体制と従事者の処遇改善を求めていく運動の重要性を強調している