社会保障制度は、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネットであり、「社会保険」、「社会福祉」、「公的扶助」、「保健医療・公衆衛生」から構成されている。日本における社会保障制度は最低限の生活を保障する生活保護制度や病気や怪我により医療機関を受診した際にその負担を軽減する医療保険など、多様な制度がある。特に医療保険は安心して医療を受けられる国民皆保険によって支えられてきた。この公的な医療保険のおかげで日本では医療機関を受診した場合、原則かかった医療費の3割の自己負担で済む。しかし、諸外国に目を向けると、ほとんど公的医療保険でカバーされていない国や、逆に自己負担なく医療を受けられる国もある。そこで本稿では社会保障制度を医療保険をはじめとする医療制度に絞り、まず日本の公的医療保険の概要を確認したうえで、諸外国の医療制度について整理した。