現在、厚生労働省から公表されている「医師需給推計」および「医師偏在指標」の概要を述べ、それぞれの問題点を考察した。「医師需給推計」の問題点として、①計算に用いた数値のほとんどが、現状が未来永劫に続く、医師数も疾病構造も不変だと仮定していること。②医師数データは医師不足状態にある現在の医師数を使用していること。③入院医療における需要推計は地域医療構想における将来の必要病床数(機能別)を使用していること。④2025年と比べ2040年の入院・外来医療需要を減少と推計、高齢化が進むのに医療需要が本当に減るのか、根拠がわからないこと。⑤2005年の国立社会保障・人口問題研究所の予想人口は252万人のズレがあること。⑥使用された医師の労働時間は週20時間、月に90時間という長時間の残業を前提としていることが挙げられる。
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