「新刊紹介」（岡崎祐司・中村暁・横山壽一・福祉国家構想研究会『安倍医療改革と皆保険体制の解体』大月書店、2015年7月15日）

『国民医療』（2015年夏号・No.326）

岡崎祐司・中村暁・横山壽一・福祉国家構想研究会『安倍医療改革と皆保険体制の解体』（大月書店、2015年）の書籍紹介を行った。本書は、2014年に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進する法律」（医療介護総合確保推進法）や2015年の通常国会で進められている医療保険制度改革、いわゆる安倍医療改革の内容をさまざまな視点から整理し、そこから生じる多くの問題点を取り上げた研究を集大成した論文集である。本書は全部で3章からなる。
本書の最大の特徴は、章ごとに明確なつながりはなく、3つの独立した論文となっているものの、様々な視点で安倍医療改革の内容をほぼ完璧に網羅している点にある。
非常に多くの問題点があるにもかかわらず、集団的自衛権の議論に隠れ、国民にはほとんど理解されていない安倍医療改革の中身について、詳細に整理されている本書の役割は非常に大きいといえよう。医療関係者や福祉関係者はもちろん、自分の将来の負担増を案じるすべての人に読んでいただきたい一冊である。
総p.1