「大正新教育と『学習経済論』」
大正新教育の個性教育の思想を「学習経済論」という教育の能率化の視点から考察を試みた。学習経済論が登場してくる社会的背景とその展開過程を明らかにしながら、その歴史的、教育学的意義を示した。学習経済論は実験教育学の導入と相まって教育の科学性・合理性を推し進める役割を果たす。ついで、大正新教育で個性尊重の教育として行われていた個別化の原理として学習経済論は機能する。しかし、個性についての理念的価値的検討の視点を失わせる結果となり、安易に国家的経済発展の教育に結びついていった。pp.143-152
『研究報告第43集』尚絧女学院短期大学、143頁~152頁