「篠原助市の初期教育思想についての考察~明治末・大正期の新教育理念とのかかわりを通して~」
戦前最も高い水準の体系的教育学を樹立したと評される篠原助市の教育学において、大正新教育の理念がどのように把握されていたかを検討した。初期の篠原教育学は、児童の自己活動という近代的な教育方法原理と人類の文化遺産の伝達という伝統的な教育目的との二つの対立的問題を、教師の内面における近代的な自我の確立によって弁証法的に統一しようとした。しかし、その統一の中に封建的な教師像を内包してしまうという問題を残した。pp.175-185
『研究報告第37集』尚絧女学院短期大学、175頁~185頁