「ルソー道徳教育思想における二元性」
ルソーの道徳教育思想は、基本的に人間社会そのものが持つ悪の構造と、人間の情念が生み出す不徳の危険性との対抗・闘争の中でとらえられており、ルソー思想の「人間」と「市民」という二つの理念的人間像への接近が彼の道徳教育の目的であることを示した。それが、個人道徳と社会(国家・共同体)道徳の両立という近代道徳の理念に忠実であればあるほど、その道徳規範の二重性とその矛盾を生成することにつながることを論述した。pp.101-115
『研究集録第16号』東北教育学部、101頁~115頁