2000年に社会福祉法が施行され,さらに2011年に地方自治法が改正されたころによって,地域福祉計画や福祉行政の意味合いが変化している.各種福祉制度が次々と改正され,わが国における社会福祉制度は大きな転換期に入っている一方で,地方行政の仕組みは,必ずしも十分に枠組みが形成できていない.それだけに新たに必要とされる枠組みと,地域福祉計画や福祉行政のあり方に関してとらえ直す必要性が高まってきている.
そこで本稿では,これまでの制度改正の流れを概観し,地方行政における重点化に対応したあり方について考察した.その結果,今日の社会福祉関係法令と地方行政機関との制度間にずれがあることが確認された.
このため憲法第25条第2項を受けた社会福祉法を軸に,生存権の保障に向けた地域福祉計画の具体的展開が望まれると思われた.
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