東日本大震災では、高齢者や障害者に対する支援を行おうとしても、具体的に避難所や在宅生活者に対する支援の方法が、必ずしも確実な効果をあげることができず、自分たちの活動のふがいなさを嘆いていたことが、支援活動を行った福祉専門職の記録から確認されている。そこで確認されたことは、災害時支援という大きな役割が求められているにもかかわらず、未だに福祉専門職の役割や社会福祉関係機関の役割が確立されていない実態であった。そこでこの状況の打開を図るべく、福祉専門職の災害時支援活動のあり方を模索した幾つかの関係者の取り組みが見受けられた中で、岩手県の福祉専門職の職能団体による検討は、フォーマルな位置づけを目指した災害派遣福祉チーム(Disaster Welfare Assistance Team)の設立を目指し検討を行うものであった。この研究成果を受け、岩手県だけでなく、現在は青森県、宮城県および福島県も同様の検討を行い、必要なチーム員の養成研修を実施するところとなり、2017年度には山形県と秋田県がこれに続いて、県の単独の制度として設立するところとなっている。そこでこの研究では、この課題解決の一助とすべく、災害派遣福祉チームが支援活動を展開する際の、一般避難所におけるスクリーニングの項目を明らかにした。
pp.51-64.