本研究は、障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳)を所持する障がい当事者や難病患者およびその家族や支援者41名が東日本大震災でどのような生活経験をしたのかを検証するワークショップを実施した結果をまとめた。その結果、障がい者の避難時およびその後の生活に対する課題はいくつも挙げられた。要因の一つに障がい者とその家族が日頃の地域生活に不安を感じていることがうかがえた。東日本大震災からの復興とともに、災害時要援護者の個別支援計画作成等の見直しや推進が行われているなか、地域の社会資源を活用するためには、平時からの地域住民の「支援」と要援護者やその家族の「受援」の力を高めることが重要だと述べた。また、その時々にどのような問題に直面しているのかを受け止め、理解し合うことで解決策を共に生み出していくことが望ましいと述べた。
阿部利江、広浦幸一、高橋誠一、阿部一彦、三浦剛