今日、福祉系の大学では、地域共生社会の実現を推進し、新たな福祉ニーズに対応する社会福祉士の養成が求められている。一方、社会の目まぐるしい変化に伴い、高等教育機関における社会福祉教育のあり方が議論され、能動的学修を促す体験活動を含んだ教育方法への期待も高まっている。本稿では、実学臨床教育プログラムを受講した学生を対象に、実践的な活動で得た経験を契機として態度特性がどのように変化するのかについて縦断調査を実施した。その結果、「キャリア」や「エンパワーメント」、「自己主導学習者」、「市民としての責任」に関する項目が積極的なほうへと変化する傾向が明らかになり、福祉現場での体験が、学生の進路実現に必要な知識・技術・態度を学ぶ機会へと結び付くことが示唆された。しかし、実学臨床教育プログラムが社会福祉教育の一端を担うためには、さらに幅広い概念で福祉を創造できる人材の育成を目指さなければならず、どのように本学の福祉教育の特徴として位置づけていけるのかを検討していくことが課題に残された。
阿部利江、尾崎慶太、山田一隆、佐藤泰伸、阿部一彦