本稿は、対面講義の際に実施していたロールプレイをオンデマンド授業(動画配信)に移行しても同様の教育効果が見られるのかを受講した学生の感想をもとに検討した実践報告である。対象となる講義では、重度障害者のコミュニケーションの現状を学ぶために対象者のコミュニケーションの状況を知識として学ぶのではなく、理解することを目的としたロールプレイを取り入れている.しかし、2020年度は感染症対策による制限のために対面講義が実施できない状況となったため、動画によるオンライン講義に移行しての実施となった。その移行するにあたり、講義内容の見直しを実施し、ロールプレイの提示の仕方の工夫などを行った。その結果、「実際に対象者の視点になって考えてみて、または援助者の立場になって考えてみて考え方、感じ方、気持ち全く異なっていて面白いと感じた」「実践型の授業という感じがして、退屈しない授業でした」などの意見が挙げられた。そのため、本報告では、動画配信を通しても受講生に積極的に参加させるための工夫を行うことにより、対面講義と同様に講義者の意図したロールプレイを通した体験型講義の実施が可能であることが示唆される結果となったと結論づけた。