新型コロナウイルス感染症が国内で流行した2020年から看護師の仕事の負担感、精神的苦痛、離職意向などについてA県すべての病院の看護師を対象として
質問紙調査を実施した。調査は2020年から2023年毎年1回反復横断調査を実施し、仕事の負担感、精神的苦痛などがどのように変化したのかを調査した。
結果:第1期、第2期、第3期とも5,190部の調査依頼状を配布し、それぞれ1,482名、1,296名、1,497名の回答を得た。COVID-19陽性患者の対応経験がある者の割合は7.0%、16.0%、45.8%であった。仕事の負担感は、精神的負担感で1.43、1.21、1.14と段階的に低下傾向を示し(F(2,4323)=92.62 p<.01)、身体的負担感は0.96,0.98、1.03と小さな変動であった(F(2,4322)=4.01 p<.01)。精神健康については、2質問法での抑うつスクリーニング陽性率が79.5%、81.1%、79.7%と高い状態で推移し、K6では第2期6.17から第3期8.22と精神健康の悪化を認めた(t(2824)=7.17 p<.01)。さらに自由記述から解釈された精神的苦痛の特徴は、第1期は未知の感染症に対する不安や恐怖などのワードで特徴づけられ、第2期はGo Toイート、トラベルなどの社会活動拡大の中で自分たちはいまだ我慢を強いられるストレスに特徴づけられた。第3期は面会制限に伴う業務負担の長期化に伴う疲弊や、行動制限の長期化による苦痛が特徴と解釈された。考察及び結論:COVID-19流行によって生じた仕事の変化は看護師の精神的負担となったが、時間とともに負担感は軽減していた。一方で、精神的苦痛は時間が経過しても改善せず、社会の規制緩和が進む中で、依然として医療現場では厳しい規制が継続する状況にストレスを感じている可能性が示唆された。