COVID-19によって労働者の精神健康が悪化し特に医療従事者の中でも看護師の精神健康の悪化 や仕事量・心理的負担の増加が先行研究で明らかにされている。その一方で
チームの団結やスタッフ間の絆が深まり、看護職の精神健康の悪化を軽減できたという報告もある。そこで本研究では看護職の職場のソーシャルキャピタルが精神健康にどのように影響したのかを明らかにすることを目的とした。研究方法:A県のすべての病院(138施設)を対象としたWeb調査を2022年7~8月に調査実施した。
結果:1505名の看護師が回答。全回答者1505名のうちCOVID-19感染拡大前から同じ職場で働いている人を選択後、回答に不備のあった9名を除外した1075名を分析対象とした。対象者の平均年齢は41.4 ±10.7歳、看護師経験年数は18.6 ±10.4年であった。COVID-19感染拡大前から調査時にかけて職場のソーシャルキャピタルが有意に低下していた。対象者を個別に見ると、一部の職場は職場のソーシャルキャピタルが改善していたが、悪化した職場が多かった。交互作用の結果から、COVID-19陽性疑い患者を対応した看護師にとって、特に職場のソーシャルキャピタルが悪化した場合に精神健康が悪化していた。
考察:看護師の精神健康の悪化を防ぐには、COVID-19陽性患者対応を行っている看護師だけではなく、疑いのある患者対応を行う看護師へも精神的サポートが必要COVID-19感染拡大などの災害時にも職場のソーシャルキャピタルを低下させないことが重要であることが示唆された。