本研究の目的は新型コロナウイルス感染症に関わる医療へのアクセスを妨げる要因を調査し、新興感染症流行時の医療へのアクセスの実態を把握し、公平で適切な医療提供体制の再構築を実現するための基礎的資料を得ることである。研究方法:新型コロナウイルス感染症に感染した経験を有する20歳以上の者を対象とし、調査会社のモニターに登録する295万人から10万人を無作為に抽出し、スクリーニングのためのアンケートを2022年8月に実施した。スクリーニング調査に回答した6,004名のうち新型コロナウイルス感染症に罹患しま505名に療養の経験に関するWeb調査を実施した。回答に不備のない476名を分析対象とした。結果:回答者の約8割が自宅療養で、医療機関へのアクセスについては
約2割が受診出来なかったと回答していた。なかでも呼吸困難など強い症状を有する者の約4割に受診困難が生じていたことが明らかになった。救急外来へのアクセス集中による逼迫状態を回避するためには、看護職による健康観察、体調悪化時のフォローアップ体制などの強化が重要となることが示唆された。