本研究の目的は、奇異行動を繰り返す統合失調症患者に『褒める声がけ』を行うことで、症状コントロールに繋がるかを明らかにし、看護実践の示唆を得ることである。
研究デザインは事例研究で、201X年Y月~5ヶ月間、A病院に入院している30代女性の患者B氏に研究の目的、方法、予測される利益、不利益、個人情報の保護等について説明し同意を得て実施した。データ収集方法は、看護記録から患者の強みとなる言動を抽出するとともに、看護師が患者B氏に関わる際に『褒める声がけ』を実施した。プライマリーナースが2週間に1回患者B氏と面談し、看護師の関わり方と患者の反応を確認した。得られたデータから患者の精神面での変化および奇異行動の変化について分析した。
結果および考察:B氏の思いを促し、ペースを守り『褒める声がけ』を継続的に行ったことが、成功体験の積み重ねとなりB氏の自己効力感を刺激し自信を回復させ夢や希望の表出にも繋がったと考えられる。『褒める声がけ』はB氏の強みを発見し伝えるというコミュニケーションの連鎖であり、このことがB氏への変化を促し看護師にフィードバックされ相乗効果が生まれたことが示唆された。