小児がん患児の入院は長期に及ぶためその間に他児の死を経験することも少なくない。他児の死に関して、亡くなった子どもやその家族を対象とした研究は数多くなされているが他児の死を経験した母親への援助は十分とは言えないのが現実である。そこで他児の死を経験した母親への看護の方向性を見出すことを目的とした。対象は、子どもが入院中に他児の経験した母親で、24時間同室し、現在子どもの状態が安定していることを条件とした。研究方法は、半構造的面接法を用いて聞き取り調査を行った。データは、Berelsonの内容分析にしたがって分析した。その結果より、『自分のこどもに亡くなったことを話すかどうか』が母親にとっては大きな問題であり、その意思決定に関しては、看護師のサポートが重要であることが示唆された。また、母親は、『自分の気持ちを処理する』と同時に、自分の子どもに対する不安を抱えながらも、『亡くなった子どもとお別れ』をしていたことが明らかになった。グリーフケアは、亡くなった家族に対して行われることが多いが、他児の死を経験した母親に対しても同様のケア介入が必要であることが推察された。