東日本大震災後の復興期において、仮設住宅から恒久住宅への転居の時期に生じる問題の1つとして、集いの場の喪失がある。これにより、孤立、活動量の減少などの弊害が引き起こされ、心身の健康に及ぼす影響は大きい。そこで、仮説住居者が集会所をどのように認識しているかを明らかにすることで、恒久住宅地域での新たな人間関係形成構築に示唆を得ることを目的とした。地域に密着した活動が行われている集会所を利用する方とその支援者を対象に半構造面接法を用いてデータを収集した。対象者数は仮説住宅者8名および生活支援相談員9名であった。得られたデータを質的に分析した結果、①集会所は<閉じこもりを防ぎ気楽に他者と交流できる場>であり、<地域の催し物や活動を行う場><支援される場>であると同時に、<人間関係に苦労がある場>として利用しない方もいた。②居住者自身による自助的な活動を促進するよう支援することが重要である、ということが示唆された。
p.159-165
一ノ瀬まきの、中村令子、富澤弥生、鈴木千明、小野木弘志、三澤寿美
文部科学省戦略的研究基盤形成支援事業(平成24年度~平成28年度)