童形図像に関する研究
主に仏教美術作品を対象とし、社会や思想との関わりにおいて作品が制作・受容された意義について、美術史の視点から問い直す。中世の童子信仰を背景とした童形の神仏像の展開に関し、文殊菩薩・地蔵菩薩・春日諸神・春日若宮本地仏・岩清水八幡若宮神・不動明王・稚児大師などを取り上げ、これらの尊格にみる童子形図像の展開を追うことで、子供が神仏と近しい存在であったとする子供観の具体的な後付け、および中世から近世という時代の移り変わりに伴う子供に対する認識の変容を考察してきた。