「童形図像に関する研究-中世の童信仰を背景とした神仏表現の展開-」(査読付き)
本論文では、文殊、地蔵、春日諸神、春日若宮の本地仏を取り上げ、それらの図像展開を明らかにすることで、童形神仏像流行の要因を探り、中世の童信仰について考察を試みた。特に童形神仏像の多くが少年の姿で表現されていることに注目し、少年の姿で聖なる存在を表現することにこそ中世という時代の特質が認められることを指摘した。中世の寺院には、稚児という聖性を帯びた少年達の存在が認められる。中世において童信仰の興隆をもたらした一因として、生身の聖者である稚児の存在が考えられる。総p.226
博士学位申請論文(女子美術大学)