芹沢銈介作「釈迦十大弟子尊像」(昭和57年)は、彼の本格的な型絵染の最後の作品である。依頼者によりインドの釈迦本堂に納められた墨型絵染と、日本に残された漆型絵染、その2組が存在し、他に縮小版として制作された「釈迦十大弟子尊像」には3種類のヴァリエーションがある。中でも芹沢作品中唯一の漆による型絵染「釈迦十大弟子尊像」は、芹沢の型絵染に対する飽くなき挑戦を物語っている。当時、漆の工程を担当した漆職人・佐藤竹治氏の談話および「釈迦十大弟子尊像」の型彫りした絵等を通して、芹沢の型絵染に対する情熱を探る。
p.45(口絵) pp.63-72