「地蔵絵巻に見る地蔵と子供の関係」(査読付き)
地蔵信仰の特色の一つに子供との関係が密接であることが挙げられるが、その関係は時代によって異なる。鎌倉から室町にかけて制作された地蔵絵巻の諸本には、「小僧」の姿で化現する生身地蔵がしばしば登場する。こうした地蔵と子供の融通性は、特に日本の地蔵説話から取材するものに著しく、この時期の日本の子供観を反映すると考えられる。地蔵絵巻に描かれた「小僧」として化現する地蔵の姿は、子供を聖なるものと見る中世の子供観を伝える好適な図様であることを指摘した。pp.1-20
『女子美術大学芸術学科紀要』4号