保育の場におけるクラス集団に関する研究―クラス集団のアセスメントツールの開発に向けて―

保育の場において、保育者には子どもへの個別的なかかわりと同時に、子どもの発達を促す集団づ
くりが求められる。本研究では、保育の場におけるクラス集団のアセスメントツールの開発に向けて、
保育者がクラス集団の状態をどのように捉えているかを明らかにすること、クラス集団の状態と保育
の困難さとの関連について検討することを目的として、保育者に対する質問紙調査を行った。その結果、
①クラス集団の状態は、〈積極性・自己主張〉〈逸脱行動・他児への否定的関わり〉〈他児への承認〉と
いう3つの下位尺度から構成されていること、②保育者は、障害児や「気になる」子どもと他児との関
係づくりにおいて、保育の困難さを特に感じていること、③逸脱行動や他児との否定的関わりが多い
クラス集団のほうが、保育の困難さが高いことが明らかになり、クラス集団の状態に合わせてクラス
集団全体に対して支援を行うことが、保育者の保育の困難さを軽減させることにつながる可能性が示
唆された。

宮城学院女子大学発達科学研究, 24