本研究の目的は、認知症のケアに携わる専門職者が、医療・ケアやその他の意思決定において、どのような要素に配慮し、何を重視したかを明らかにすることである。看取りまで行うグループホームの職員を対象とし、認知症の人に関する医療・ケアやその他の選択に主体的に参与した経験を有する専門職者4名にインタビュー調査を行った。インタビューはコード化する質的帰納的に行った。結果は、12サブカテゴリ、6カテゴリが抽出され、カテゴリは【本人らしい生活や本人のしたいことを行う】【本人の能力や教務を引き出す】【本人の過去・現在とのつながりをみる】【多職種と連携を図る】【家族の関係性や家族の思いを共有する】【専門職として接する姿勢とスタッフ間の連携を行う】が挙げられた。ある場合によっては、他の職種との間で、意思決定の目標の相違に関する課題が生じることが把握され、これらの事から、認知症の意思決定に関して家族と目標の共有をしながら、さらに多職種と連携を図り本人の意思を反映できるよう支援する体制が望まれた。
p114 工藤洋子 日笠晴香(岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域)