第44回日本医学哲学・倫理学会(神奈川大学みなとみらいキャンパス)
これまで、遷延性意識障害の人に対し、意識障害と診断されたとしても、意識がある事を前提とした看護の重要性を論じてきた。今回の報告では、これまでの治療過程においてどのように代理意思決定を行ってきたのかについて、遷延性意識障害者の家族へのインタビュー調査の結果の一部を報告した。結果では、緊急事態に直面した際、家族は十分に理解できないまま迅速な決断に追い込まれていること、医療者の態度や関わり方が家族の代理意思決定に影響を及ぼしていること、医療者がどのように遷延性意識障害者を捉えているのかによって、ケアの方向性に差異が生じること、家族は、わずかな反応から回復の可能性に希望を見出している一方で、医療者の一部は、既存の知識や科学的な見方のみに基づいて、判断を下す傾向があることが明らかとなった。これらの結果から、意思決定の過程において、医療者側の姿勢や認識が少なからず影響を及ぼすことを認識し、今後は、本人にとっての最善の利益を多角的に検討していく必要性が確認された。