2011年に発生した東日本大震災では、広範にわたる大規模な被害状況に対して、公的機関、地域内の各種組織・団体、外部からの災害ボランティア等の様々なアクターによる被災者の生活支援を主たる目的とした様々な活動が展開されている。このような中、各種社会福祉系の職能団体からも数多くの専門職による活動が展開されている。
この災害時の福祉系専門職の活動について東日本大震災での経験をもとに、岩手県、宮城県、福島県などでは社会福祉協議会を中心とした形で各福祉関係団体等とともに、大規模災害時に避難所等において要配慮者である福祉・介護等のニーズ把握や応急支援などを担う「災害派遣福祉チーム」の取組が進められているほか、一般社団法人日本社会福祉士養成校協会においても「災害福祉支援活動基礎研修」が行われるなど、災害時の福祉系専門職の派遣体制整備の動きがみられている。
そこで、本研究では、東日本大震災の震災発災後の初期段階におけるソーシャルワーカーの活動ついて、災害時のソーシャルワーク専門職の活動と所属する機関・組織及び被災地内の機関・組織との関係性に焦点をあて、災害時の組織的な課題について検討を行った。
具体的な作業としては、発災から1~2年の期間に焦点を当て、各専門職団体の支援活動報告書の整理を行った。また、実際に現地において活動を行ったソーシャルワーカーへの半構造化面接によるヒアリング調査―宮城県内のソーシャルワーク専門団体(宮城県社会福祉士会、宮城県精神保健福祉士協会、宮城県医療ソーシャルワーカー協会)から、3名ずつ推薦してもらい、そのうち、同意を得られた者へ実施―の実施、平成28年11月12日に開催されたシンポジウム「災害時におけるソーシャルワーク組織のあり方について」のワークショップ「ソーシャルワーカーによる被災地支援活動を考える」において参加者より発言された内容の整理分析を行った。
渡邊 圭 佐藤 博彦 塩村 公子