2011年に発生した東日本大震災では、公的機関、地域内の各種組織・団体、外部からの災害ボランティア等による被災者の生活支援を主たる目的とした様々な活動が展開されている。このような中、各種社会福祉系の職能団体からも数多くの専門職による活動が展開されており、各種の報告書が出版されている。
東日本大震災及び、過去の災害時において、社会福祉系の専門職による各種の対応・活動がなされてきたが、特にソーシャルワーカーの被災地活動については、その活動目的や活動内容が明確化している医療関係者によって組織・派遣されるD-MATの活動と比較すると、様々な位置づけでの活動やその指揮系統や他専門職との連携についての記述が報告書上には明記されているが、その活動目的や内容の専門性が見えづらいという性質を持っている。そのため、報告書の内容からソーシャルワーカー自身の活動への不全感が読み取れる記載があると考えられる。
この東日本大震災での活動と同様に、過去の災害時における社会福祉専門職やソーシャルワーカーによる様々な実践や活動報告は散見され、個々の災害時の活動事例についての検討はなされているが、それを一般化・体系化しソーシャルワーク実践の中に位置づける作業については未だ途上の状況にある。
そこで、本研究では、大規模災害時の被災地(宮城県)において、東日本大震災の震災発災後の初期段階におけるソーシャルワーカーの活動ついて、災害時のソーシャルワーク専門職の活動と所属する機関・組織及び被災地内の機関・組織との関係性に焦点をあて、災害時の組織的な課題について検討をしていくことを目的としている。
特に、今回の報告では、ソーシャルワーカーによる各種活動のうち、医療ソーシャルワーカーの活動について焦点をあてて整理を試みた。