東日本大震災では、被災者/被災地支援のため、公私を問わず各種機関、団体、組織による様々な支援活動の展開がみられる。その各種支援活動は、専門性の違いを表わすように、目的、時期、連携方法、指揮命令系統など異なる形で展開されている。その中でも、医療従事者によるDMATの被災地医療活動は、過去の経験から役割・機能が明確化されている部分が多い。
一方、各種社会福祉系職能団体からも多数の専門職による、様々な活動・実践が展開されている。しかし、前述のDMATと比較した際には、その活動目的・内容の専門性が見えにくく、これまで発行された各種活動報告書からは社会福祉系の専門職の中でも、特にソーシャルワーカーの被災地域での活動について、ソーシャルワーカー自身の当時の不全感が読み取れる。
災害時の社会福祉専門職及び、ソーシャルワーカーの活動・実践は、過去の大規模災害時においても展開されており、個々の災害時の活動事例の検討はなされてきている。しかし、それを一般化・体系化しソーシャルワーク実践の中に位置づける作業については、今回の東日本大震災を機に「災害ソーシャルワーク」として模索が始められた状況にある。
そこで、本研究では、東日本大震災という大規模災害時の被災地(宮城県)における、初期段階のソーシャルワーカーの活動について、宮城県医療ソーシャルワーカー協会所属のソーシャルワーカーを対象に、被災地での活動及びその際に関係・連携した機関・組織との関係性に焦点をあて分析・考察を行う。そのことから、ソーシャルワーカーによる災害対応における課題について検討を行なった。