本研究の目的は、医療的ケア児・者および家族の災害時の不安や必要な支援について把握した上で、当事者自らが中心となり市町村、専門職と協働した防災対策を検討することである。令和6年10~12月末の期間にて、Webアンケート調査を実施し、当事者から98件の回答を得た。
(1)災害発災時の不安について
災害発災時の不安については、「体調悪化時の対応(74.5%)」、「医療的ケアに必要な物品確保(74.5%)」、「医療的ケアに必要な消耗品確保(69.4%)」、「電源確保(66.3%)」の順に多い回答と なった。
(2)自宅、避難先で必要な支援について
災害発災時に自宅、避難所にて必要となる支援については「非常用電源の確保」が50%を超える回答となっており、医療的ケア児・者にとって災害発災時に電源を確保することが子どもの命と直結する大きな課題であることが明らかとなった。
(3)避難物資の備蓄状況について
子どもが日常的に使用する「薬・栄養剤・水等の物品(86.7%)」、「衛生消耗品(80.6%)」、「酸素ボンベ・濃縮器(54.1%)」の備蓄については自らの準備が一定程度整っている状況が示唆された。一方で、「電源バッテリー(31.6%)」、「電源を確保できる場所の把握(14.3%)」については当事者自らが準備することができていない状況がみられ、何らかの具体的な支援が必要である。
本研究を通して、当事者の「自助」による防災対策の限界と「公助」・「共助」による具体的な支援方策について検討する必要があることが明らかとなった。災害発災時に電源喪失があった場合、「かかりつけ病院」や「相談支援事業所」が相談場所として多く回答されていたが、災害時には機能しない可能性がある。災害時にライフラインが復旧するまでの間、当事者が住み慣れた地域内にて地域住民らから何らかの支援を提供できる関係づくりや仕組みづくりが早急に必要である。