本研究グループが小学校および特別支援学校への就学前・就学中の医療的ケアが必要となる子ども(以下、医療的ケア児)をもつ保護者(母親)を対象にインタビュー調査を実施したところ、特別支援学校においても「学校に入学できるが、実際に通学できるか分からない」「入学当初から教員が自宅を訪問する教育の提供のみの選択肢であった」との語りが見受けられた。本研究の目的は、医療的ケア児の就学に関する支援のあり方や保護者との協働のあり方について検討し、保護者を中心とした具体的な活動を展開することである。
就学前の母親らへのサポートと母親らを中心としたサポートグループの活動を軸としたアクション・リサーチを行った。
(1) リーフレットの作成と配布
就学に関する情報提供の一環として、リーフレットの作成と配布を行った。リーフレットの対象は保護者(母親)とそれ に関わる支援者である。リーフレットには、保護者の相談相手の存在を示し、支援者には子どもたちが通学することが当然の権利であることを念頭にサポートをお願いしたいというメッセージを込めた。リーフレットの作成にあたり、医療的ケア児をもつ母親と支援者に参加を依頼し、内容について検討を行った。今後はより具体的な就学時に必要となる情報を提供する計画である。
(2) A県在住の医療的ケア児の就学までのサポートについて
本研究メンバーを中心として、就学前の保護者のサポート行った。保護者が求める情報や関係者の紹介、また保護者の伴走的支援を行った。具体的な取り組み内容は下記の通りである。
2021年度 ・研究グループメンバーによる保護者への聞き取り
・関係者(県議会議員)を含めて意見交換 ・県教育委員会への相談
2022年度 県教育委員会との面談・学校見学・学校関係者との面談
2023年4月 就学(通学)開始
今後は、就学前に様々な経験をした母親らがピアサポートをするべく、サポートの実際や対応のあり方等について検討を重ね、よりよりサポート体制を構築する予定である。本研究は2022 年度日本生命財団児童・少年の健全育成実践的研究助成の助成を受けたものである。