本研究では、重症心身障害児(以下、重症児)をもつ保護者らが所属する家族会を対象として、防災活動や自治体への防災体制の構築、当事者による防災の現状の理解と防災の取り組み促進を図ることを目的とした。自治体と当事者および家族の防災に関する現状と課題、そして当事者のニーズを検討するための基礎情報を得ることを目的とした。
活動を通して、家族同士、母親同士の支え合いや担当する役割を果たす姿が見受けられた。防災に関する勉強会を実施し、自治体関係者、当事者とその家族などの参加があった。しかしながら、家族らが期待していた防災体制は準備されておらず、今後については検討中との回答があり、家族会としては奮起するきっかけとなった。現在は、家族会が主となったアンケート調査を実施すべく、アンケート項目の作成、調査後の活動の計画等について検討を重ねている。専門家らは母親間の関わりを見守りながら適宜必要に応じて助言する姿勢を貫いていた。また、家族間、母親間でも当事者である自らの声をいかに届けるか検討する姿があり、当事者としての義務や責任を果たそうとする取り組みが今後も継続するためには、必要な知識提供と活動を維持する第三者のサポートが有益であることが明らかとなった。本研究はJSPS科研費18K02075の助成を受けたものです。