本研究の目的は、医療的ケア児の小学校および特別支援学校の就学時における就学先の決定、その後の入学および通学の決定に至るまでの過程を明らかにし、就学に関する支援のあり方について検討する。調査対象は、医療的ケアを必要とする子ども(以下、医療的ケア児)をもつ母親らである。
就学を考えた時期やきっかけとしては、「ママ友や先輩お母さん」、「療育施設やその職員」、「相談員」から就学について情報提供があり、子どもの就学を考えるきっかけとなったという語りがみられた。ただし、その時期としては、「就学1年前」という語りがみられ、新年度を迎えるにあたり、「来年、小学生」という話題があったための情報提供であったと考えられる。
母親自らが就学に関する情報収集、教育委員会や学校への相談・交渉、子どもに関係する専門職への協力依頼など、すべて母親がマネジメントを行い、子どもの就学準備を行っていたという語りがみられた。就学については「母親次第」という語りがみられ、相当な負担や重責が母親にかかっていたと考える。
今後は、就学に関する情報提供の仕組みづくり、就学前のピアサポートなどの仕組み作りが必要である。