精神障害者を対象としたグループホーム(共同生活援助)の利用者22名に対し、向老意識に関するアンケート調査とインタビュー調査を行った。調査対象者はグループホームでの生活に高い満足度を示した一方で、老後の生活について不安を抱えながらも、具体的な方策や計画については考えづらい特性を有していた。障害者総合支援法による福祉サービスから介護保険サービスへの移行や併用についても情報が不足している傾向が示された。グループホームで生活する高齢の精神障害者に対し、近い将来に介護が必要となった時のサービス利用に関する助言、本人主体の生活を確保するために利用可能なサービスの選択肢や具体的生活モデルの提示の必要性が明らかとなった。高齢化に伴い、これまで親が担ってきた精神障害者への保護者機能が兄弟姉妹やその子ども(甥・姪)に引き継がれ二次的な関係性になることで、自身の老後の生活に対する要望を家族等に表明しづらい状況に置かれることが予測された。老後の尊厳・人権を守るためのコーディネートに基づく地域包括支援体制の構築の必要性が明らかとなった。