スクールソーシャルワークおける支援活動において、スクールソーシャルワーカーによる直接援助を含むアウトリーチ(訪問支援)の実施について、明確な定義付けがなされていない。問題を抱える児童・生徒に関わる専門職として「訪問支援」が法に規定されているのは「教師」「保健師」「児童相談所のワーカー」であり、スクールソーシャルワーカーの「訪問支援」や「直接援助」の法的根拠は明確ではない。しかし、実際には、毎年度文部科学省で発行している『スクールソーシャルワーカー活動報告』においても、スクールソーシャルワーカー自身による学習支援や訪問支援についての活動が報告されている。国の補助事業である「スクールソーシャルワーカー活用事業」の実施主体である都道府県において、積極的に捉えるか消極的に捉えるかで見解が分かれているのが実情である。本研究では、スクールソーシャルワークにおける直接援助活動の実践事例から、ストレングス視点によるエンパワメントを目的とした積極的な直接援助及びアウトリーチの有効性について考察し、実施に際して考慮すべき事項について提言した。
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