精神保健福祉援助実習をより充実・効果的なものとするためには、実習生、実習機関の実習指導者(以下、実習指導者と表記)、実習機関の利用者及び患者(以下、利用者と表記)、養成校(大学)の教員の4者の連携・協力が不可欠である。本研究は、実習修了者を対象に実習に関する質問票調査を実施し、実習生の実習満足度と実習指導者・利用者との関係性について分析し、実習教育の質を向上するための実習生を送り出す養成校(大学)側の実習前教育のあり方について検討した。精神保健福祉援助実習のうち、実習A(社会福祉施設実習15日間かつ120時間で以下「福祉施設実習」と表記)、実習B(精神科医療機関12日かつ90時間で以下「医療機関実習」と表記)、旧カリキュラム実習(福祉または医療機関にて24日かつ180時間)をそれぞれ修了した通信教育部学生を対象に2017年11月~2018年4月にかけて郵送・配付による質問票調査を行った。質問票は、基本属性のフェイスシートと実習に関する内容を問う項目で構成された。回答は任意によるopt-out方式とし、データの研究等への活用の可否を問う項目を設けた。回答は単純及びクロス集計により分析、自由記述については内容分析によりカテゴリを抽出した。実習プログラムの満足度には、実習指導者との関係性が強く影響することから、実習前教育においては、「何を学ぶか」の前提として、「如何に学ぶか」のスキル習得に力点を置き、より適した態度形成を図るための訓練プログラムと、その前後状態を測る評価基準の開発の必要性が明らかとなった。