日本においては少子高齢化、人口減少の進展に伴い、今後ますますの労働力人口の減少が見込まれている。介護分野においても、介護人材の確保及び生産性の向上を通じた介護サービスの維 持や安定化は喫緊の課題となっている。そうした中で、介護人材の量的確保や質的向上の取り組みが進められている。その一方で、介護事業(あるいは介護経営)においては、近年、ICT技術 や介護ロボットの導入による生産性向上の取り組みが試行的なものも含めて積極的に進められ てきている。
本報告では、こうした取り組みが進む中で変容を迫られる介護労働のあり方に着目し、介護労働の質の変化や介護経営における人材マネジメントに生じてきている課題について検討した。 具体的には、介護業務の中で ICT 技術やロボット化の馴染む範囲の検討や、こうした新たな技術の活用に関わり職員に求められる職務遂行能力の変化、人材育成を見据えてどのような人材育成プログラムや現場でのノウハウ共有の取り組みが求められるかについて、試論的に検討をした。