加齢に伴う感覚機能の変化が、触覚に関連する血流反応の変調によって反映される可能性があると仮定し、指知覚時の血流反応が加齢によってどのように影響されるかを明らかにすることを目的とした。若年者（n = 27）と高齢者（n = 37）を対象に、盲条件下で行われた点字読書中の人差し指遠位掌部触圧閾値と指の皮膚血流（SBF）を測定した。その結果、触圧閾値は若年者（2.76±0.24 log10 0.1 mg）よりも高齢者（2.99 ± 0.37 log10 0.1 mg）で高くなった（p < 0.01）。一方、SBFの反応は高齢者（-4.9±7.0%）では若年者（-25.8±15.4%）に比べ顕著に小さかった（p < 0.01）。さらに、点字の読み上げに対する反応のピーク到達時間は、高齢者では12.5 ± 3.1 s、若年者では8.8 ± 3.6 sであった（p < 0.01）．加齢に伴い、触覚感度の低下が起こり、触覚に関連する血流反応も、血流の減少や反応時間の遅延に代表されるように、加齢によって影響を受ける。
9(2): 143-143,2021
Jun Murata, Shin Murata, Takayuki Kodama, Hideki Nakano, Masayuki Soma, Hideyuki Nakae, Yousuke Satoh, Haruki Kogo, Naho Umeki
