〔目的〕本研究は,パーキンソン病者の歩行機能と足趾把持力との関係を明らかにするために,足趾把持力と快適および最速下の時間的・空間的歩行パラメータとの関係を検討した。〔対象・方法〕在宅パーキンソン病者40名とした。測定項目は,足趾把持力と快適および最速下における速度,歩幅,歩行率,歩隔,足角,立脚時間,遊脚時間,両脚
支持時間とした。足趾把持力とこれらの項目との関連について,ピアソンの積率相関係数を用いて検討した。〔結果〕足趾把持力は,快適および最速歩行下の歩幅と速度との間に有意な正の相関を認めたが,立脚時間,遊脚時間,両脚支持時間とは有意な相関を認めなかった。〔結語〕これらのことから,足趾把持力が強い者ほど,時間周期的パラメータを保ちながら歩行リズムを変化させず,歩幅を広げることによって速く歩行できることが示唆された。
10(4):195-198,2021
相馬 正之, 村田 伸, 中江 秀幸, 中野 英樹, 石田 治久, 丸山 ゆうみ, 長柄 均, 長柄 祐子