本研究は,Hoehn&Yahr 重症度分類stage Ⅱ~Ⅳの在宅パーキンソン病患者25名(男性9名,女性16名,平均年齢70.5±8.0歳)を対象に,足趾把持機能を高めるインソール装着による姿勢制御能力と歩行能力に対する効果の検証を目的とした。裸足とインソール装着の2条件にて重心動揺計の変数であるX方向平均中心変位,Y方向平均中心変位,外周面積,総軌跡長,前後への随意的重心移動能力の指標である% forth-and-back(%FB),そして最大歩行速度を比較検討した。その結果,裸足に比べてインソール装着時には,Y方向平均中心変位が前方に移動し,%FB および最大歩行速度が向上した。本研究結果から,在宅パーキンソン病患者に対する足趾把持力を高めるインソール装着により,パーキンソン病特有な足圧中心位置の後方変位の修正,前後方向の随意的重心移動能力の向上,そして最大歩行速度向上の効果が示唆された。
10(3)125-130
中江 秀幸, 村田 伸, 相馬 正之, 中野 英樹, 石田 治久, 丸山 ゆうみ, 長柄 均, 長柄 祐子